揺れる水面 映る月影は何処から


「だから、私は――」



「だったら、あちらに戻らせてあげましょうか?」



ふと幕末で聞いた男の声がした。



声の方に視線を移せば、そこには幕末で会った時と同じ袈裟を着た影時が立っていた。



「何で、あんたがこっちの時代にいるんだ?」



「時の操り人である私には時代を行き来するなど容易いことですよ。それより、貴女は幕末に戻りたいと言いましたね?」



影時は笠をクイッと上げると、左右の色が違う瞳で妃絽を見据える。



何でも見通しているような目に見据えられ、妃絽は素直に頷いた。







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