揺れる水面 映る月影は何処から
妃絽は目をつぶると、幕末での生活と今の生活を頭に思い浮かべた。
どちらも賑やかで笑いが絶えず、楽しい日々を送っていた。
正直言って、どちらかを選べなんて無理だ。
しかし、此処は決断しなくてはいけない。
考えに耽る妃絽の頭にふと彼の姿が浮かんだ。
その瞬間、妃絽は身体を起こした。
「…決めた」
彼女にもう迷いはない。
何があろうと、この想いは変わらない。
この日、ようやく妃絽は自分の生きるべき場所を見つけた――。