揺れる水面 映る月影は何処から
「妃絽ッ!」
突然聞こえた声に妃絽は飛び込むのを止めた。
声の方を見れば夏樹や繭、齋と施設の職員、子供達がいる。
皆、走って来たらしく息を切らしていた。
「何で何も言って行かないんだよ…ッ!俺達は今まで一緒に暮らした家族だろ…?」
「…っ」
妃絽は言葉を失った。
そうだ、家族はお父さん達だけじゃなかったのだと――。
すると、繭は目を真っ赤にしながら妃絽に近付いて来た。
「馬鹿妃絽」
「ごめん…、繭」
妃絽が謝ると、繭は妃絽に抱き着いて来た。