揺れる水面 映る月影は何処から
「待ちなさい」
すると、さっきまで己を宥めていた男が出て行こうとする妃絽を呼び止めた。
妃絽は怪訝そうな顔で振り返った。
「何?」
「君達は未来から来たというのに住む所はあるのかい?」
考えてみれば、無いということに妃絽は気付いた。
未来はもちろん、この時代にも妃絽達には親戚や知り合いというモノはいない。
総じて、住む場所は無い。
「確かに無いな」
「じゃあ、此処に住むと良い」
「それは良いですね、近藤さん」
「待てよ、近藤さん!そっちの男はともかくコイツは女だぞ!」
男と青年は承諾したが、美丈夫は反対のようだ。