揺れる水面 映る月影は何処から
「妃絽お姉ちゃん~!」
「何、どうした?」
暇を持て余す妃絽に同じ施設で暮らす子供達が声をかけて来た。
平均して歳は小学生、皆妃絽によく懐いている。
「ボールが木の上に上がっちゃった!」
涙目になりながら訴えて来る子供達に妃絽は小さく笑った。
「よし、お姉ちゃんが取ってやる」
「「「「わーい!」」」」
妃絽は左右の手を子供達に握られながら、外に出ようと玄関に向かった。
すると、玄関で靴を脱ぐ影を二つ見つけた。