揺れる水面 映る月影は何処から
妃絽はそれを投げて来た張本人――、土方を睨みつけた。
「唐突な話だが、望月、各務。お前らには新選組の隊士になってもらう」
「つまり、私に男装をしろと?」
妃絽は投げられた着物を広げながら問うた。
「当たりです。女の子が此処にいるとなれば、隊内の士気に関わりますからね」
沖田の言うことは正しい。
女がいると分かれば、隊内の士気が下がるだけでなく、風紀も乱れてしまう。
それを防ぐ為には妃絽が女だとばれないように、男装するしかない。
「分かったよ…」
男装するのが面倒に思いながらも妃絽はそれを承諾した。