揺れる水面 映る月影は何処から
「う~ん、分かんないな…」
妃絽は前髪を掻きむしると、溜息を吐いた。
すると、パタパタと廊下を走る足音がする。
「あ、おったおった。妃絽~!」
「山崎さん。何か用か?」
足音の主は同じ監察方所属の山崎だった。
「副長はんが呼んでるで」
「…土方さんが?」
妃絽は土方という名にあからさまに嫌な顔をした。
昨日と一昨日の喧嘩以降、同じ部屋にいるにも関わらず、互いに無関心だった。