揺れる水面 映る月影は何処から
「どうや、何か分かったか?」
「奴らは新選組を根絶やしにしようと仲間を集めてるらしいよ」
「何やてッ!? 俺は副長はん達にこのことを伝えて来るさかい、妃絽は客の相手をしとってくれ」
山崎は一瞬にして忍装束に着替えると、欄干に足をかけた。
しかし、何か思い出したように妃絽の方を振り向いた。
「無理をしたらあかんで」
「はいはい、分かってるよ。行こう、雛菊さん」
彼に心配そうな眼差しを向けられた妃絽は軽く受け流し、雛菊と廊下を歩き出した。
「本当に分かったんやろか?」
妃絽の耳に山崎の本気で心配するような呟きが聞こえたが、聞こえないふりをした。