揺れる水面 映る月影は何処から


「どうや、何か分かったか?」



「奴らは新選組を根絶やしにしようと仲間を集めてるらしいよ」



「何やてッ!? 俺は副長はん達にこのことを伝えて来るさかい、妃絽は客の相手をしとってくれ」



山崎は一瞬にして忍装束に着替えると、欄干に足をかけた。



しかし、何か思い出したように妃絽の方を振り向いた。



「無理をしたらあかんで」



「はいはい、分かってるよ。行こう、雛菊さん」



彼に心配そうな眼差しを向けられた妃絽は軽く受け流し、雛菊と廊下を歩き出した。



「本当に分かったんやろか?」



妃絽の耳に山崎の本気で心配するような呟きが聞こえたが、聞こえないふりをした。






< 77 / 270 >

この作品をシェア

pagetop