揺れる水面 映る月影は何処から
「――という訳だ。そもそも池田屋で長州の企てを阻止したというが、我々の方が先に情報を掴んでいたんだ」
「桝屋は怪しいと思っていたんだよな」
他の浪士達も同感というように頷いていた。
その光景に面白いこと思いついた妃絽はフッと口角を持ち上げる。
「ほな、此処でうちから旦はん方に質問どす」
「何だ?」
「桝屋の店主の本名は?」
妃絽の質問に、浪士達は答えようとしない。
「時間切れ。正解は古高俊太郎だよ。何だ、情報を掴んでたなんて嘘じゃん」
妃絽は呆れたように息を吐くと、結われていた髪を解いた。
浪士達の今の感情は驚愕以外何もない。