花と蝶
そのまま玄関で靴を履いていると、
お兄ちゃんの足音が後ろに聞こえた。



「花菜、今日は早く帰ってくるのか?」


「うーん…」



かかとを靴に入れながら、なんと答えればいいか考える。



「八時くらいかな?」


「そんなに遅いのか!?」



そんなに遅くはないでしょう…。



「部活があるんだから仕方ないでしょ」

「はあ…できるだけ早く帰ってこいよ」

「はいはい」



いってきます、と言いながら家を出た。


両親が海外に夫婦そろって赴任してしまったため、
私たち兄妹は二人で暮らしている。
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