花と蝶
しばらく沈黙が続く。
変な空気が流れている。こういうのは苦手だ。



「なんか見る?」


「へ!?」



突然の質問に思わず素っ頓狂な声が出た。



「いや、DVDとか」


「ああ…」



うん、と頷くと浩司が乱雑に置かれているDVDケースの山を漁り始めた。



「これでいい?」


「うん」



とにかくこの雰囲気を壊せるならなんでもいい。
私はタイトルもよく見ずに頷いた。



しかし、すぐにその行動を後悔した。


その映画の内容が初初っ端から激しいラブシーンだったのだ。
隣の浩司も唖然としていた。


どうやら浩司もあまりタイトルを見てなかったようだ。


「やっぱやめる?」

「う、うん」

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