最近なじみました。
千鶴って言った?
知ってるの?あたしの名前を。
「俺、竜騎。お前の幼なじみだけど」
“竜騎”?
なんか聞いたことあるような…
…何がなんだか分からないし、頭の中はぐちゃぐちゃでパニックだ。
しかも、驚きすぎてドアを開けたい好奇心に負けてしまった。
“ガチャッ”
少しドアを開けてみただけだったのに、
ぐいっ、
強制的にドアは大きく開かれて、暖かい夏独特の空気が一気に流れ込んできた。
「えっ、あの」
「さっさと開けろよ、ばか千鶴」
そしてあろうことか、抱き締められたのだ。
竜騎って人に。
「えっ、あ、いや、ちょっと待って」
「ん?」
綺麗な顔がこちらを向く。
切れ長の男らしい瞳に長いまつげと通った鼻筋。
―――思わず見とれてしまった。