新撰組と狼君
ブロロロロ
俺は車の窓から外を見つめた
車道を走る車やバイク
歩道を歩く人込み
何もかも日常で普通なのに……
心の何処かでこの普通から抜け出したいと思っている俺……
チラリと運転席をみる
車を運転している奴は江堂渋夜〈コウドウ シブヤ〉
四十過ぎたオッサン
首まで伸びている髪を一括りにして前髪を真ん中分け
眼鏡をかけていてよく三十に間違われる顔面詐欺師
俺が産まれたときから家に使えている執事
メイド達は笑顔で仕事をしている奴をイケメン、爽やかとか騒いでいるが俺は思わない
むしろその笑顔が気持ち悪いと思っている