新撰組と狼君
昔、渋夜の本物の笑顔を見たことがあるからそう思うのだと思う
「銀斗様?どうされましたか」
「なんでもねぇよ」
俺は視線を渋夜から窓の外に移した
「……まだ旦那様のことがお嫌いですか?」
「当たり前だ。あの日のことを一生忘れねぇし、あいつのことが一生嫌いだ」
俺は吐き捨てるように言った
いままで一度も忘れたことはない
まるで昨日のように思い出せるぐらいだ
「そう……ですか。もうすぐ屋敷に到着いたします」
それからはお互い一言も話さず屋敷に着いた