ブルーブラック【番外編】
「な、にを急に···大体もう籍入れて···」
「何でそんなに早まったんだよ!普通籍入れる前の顔合わせだろ?」
「それはそうなんだけど···」
椿のいうことはもっともだ。
もう大人なのに、両親の承諾を得ていたとはいえ順序も考えずに事を起こしてしまったのは事実。
だけど百合香にはなぜそこまで椿が自分の今回の結婚に突っかかってくるのかがわからなかった。
「椿?どうしてそんな風に言うの?」
「···昨日あの人、ただ黙ってただけで姉ちゃんのフォローもロクにしなかっただろ」
「え?昨日?」
「あまり感情の起伏もなさそうだし」
(もしかしてお姉さんたちに挟まれていた時のことかな?)
椿はポケットに手を突っこんだままホームの端の壁に寄りかかると、目を伏せて続けた。
「あんなんじゃあ、これから何かあった時、姉ちゃんの味方いないんじゃないの」