ブルーブラック【番外編】
「え?あぁ…そうだな····明日とか」
今度は智が立って話をし、百合香がソファに座って智の会話に聞き耳を立てる。
あの顔合わせの時の一件から、きっかけは結局わからず仕舞いだけれど椿は智を認めてくれた。
その椿が『義兄さん《にいさん》』と慕ってきてくれるようになったのは嬉しいことだが、今回のように自分は蚊帳の外で話をするなんてことはなかったからすごく気になるし、ちょっと複雑に思っていた。
「じゃ、また」
通話を終えて携帯を百合香に返しながら智も百合香の隣に座った。
別に相手は弟だし、やましいことなんてあるわけないし。
だけどやっぱり内容が気になってしまうのは仕方がないことで。
「椿、何の用だったんですか?」
「え?あー···わかんないんだけど」
「え?」
「ただ、明日ちょっと会う約束をした」
「えぇぇ???」
百合香はますます訳が分からないままだったが、その話は智に終わらせられてしまった。