ブルーブラック【番外編】
「目を覚ましたっていうことは、どうなるか…わかるよね?」
「――え?」
百合香は一瞬考えたが、すぐに思いだした。
“寝てる女には何もしない”と言っていた過去を。
それは裏を返せば――――
「さ、智さん…あの、きょ、今日はどこへ···」
「ちょっと体動かして、そのあとどっかの酒癖の悪い奥さんを迎えに」
じっ、と見つめられるその目は生き生きしていて。
口調とは裏腹にベッドへの降ろし方はすごく丁寧で優しい。
「またそうやってはぐらかす···」
「···俺は変化球投手だからな」
「???」
一人で笑ってそういうと智は百合香を真上から見つめてキスを落とした。