ブルーブラック【番外編】
「うーん···」
だけど現金な店員だと言われればそうなのだろう。今日は全くそんな気にはならない。
かれこれこの子の買い物に付き合って1時間になる。
閉店まであと10分を切った。
他にお客さんがいないから集中出来るということもあるのかもしれないが、自分の中でどうもそうじゃないという気がする。
「ごめんなさい、付き合わせてしまってますね」
初めての感じだ。
なんだか店員以上の気持ちで一緒に万年筆を選んでいる感覚に陥っているのと、この子の買い物を見ていて飽きないのと。
それはこの子の表情が本当にくるくると変わって目が離せないからか。
「いえ、見ての通りお客様もいませんから、どうぞごゆっくり」
「···ありがとうございます」