cяimson moon 赤い月 extra
うさぎは深い溜め息を吐いた後、夜空に視線を移した。
少女の年齢から考えて、家はそう遠くないはず。
ならば、聞こえる…
精神を研ぎ澄まし…
「そなたの名は『ひかる』というのか?」
うさぎの言葉に、少女は目を丸くした。
「どうして知ってるの?」
「聞こえた。
親がそなたを探しておる。」
「…
ウソだよ。
そんなの聞こえない。」
少女は泣きそうに顔を歪めて、肩を落とした。
「パパはママがキライ。
ママはパパがキライ。
だから、二人ともあたしがキライなの。
あたしのコトなんか、探さないよ。」
「いや、聞こえる。
妾は鬼じゃからな。
必死でそなたを呼んでおる。」
今にも涙を零しそうな少女を、うさぎは優しく抱きしめた。
清潔な匂いのする髪を柔らかく撫で、少女の顔を覗き込む。
「両親の本当の気持ちが知りたいか?」
悪戯そうに輝く赤い瞳を見て、少女が目を瞬かせた。