cяimson moon 赤い月 extra

「他に行きそうな場所は?!」


「あ、公園を見てない!!」


いつも娘が遊んでいる公園に駆け込んだ両親の目の前に、空から誰かが降ってきた。

月明かりを受けて光を散らす、銀の髪。

燃えるような赤い瞳。

美しい。

だが…
柔らかい曲線を描く、二本の角…

明らかに人間ではない…

人外の生き物が、片腕に愛しい娘を抱いていた。


「妾は鬼。
そなたらの娘は、今宵妾の餌となる。」


「「?!」」


冷たい声に両親は息を飲んだ。

ナニ? コレ。
ドコの世界に迷い込んだ?

オニ?
オニって… 日本昔話的な?

まさかぁ。

でも、角あるし。
空から飛んできたし。

でも… まさかぁ?

いやいや、重要なのはソコじゃない。
娘が女に捕らえられているのは事実。

誘拐だ…


「光を返せ!!」


父親が、少女を抱くうさぎに向かって飛びかかろうとした。

< 127 / 212 >

この作品をシェア

pagetop