cяimson moon 赤い月 extra
「ならば、もう家出などするでない。
帰って、てすとを両親に見せてやれ。」
腕から降ろされた光は、両親に駆け寄ろうとして…振り向いた。
「ありがとう、お姉ちゃん。
…
もう… 会えない?」
「次にそなたが夜遊びをしていたら、妾が喰らってやろう。」
「ウソばっかり。
お姉ちゃんは優しいもん!」
口を開けて牙を剥き出したうさぎに、少女は楽しそうな笑顔で答えた。
「だが、両親には言っておけ。
喧嘩ばかりしておると、また鬼がそなたを連れに来るぞ、とな。」
「うん!
お姉ちゃん、名前は?」
うさぎは一瞬迷う。
いつも呼ばれてはいるが、自分から名乗ったことはないような気がする。
妾の名…
「…
うさぎじゃ。」
「ほんとー?
カワイー!
またね、うさぎお姉ちゃん!」
「…
また、な。
ひかる。」
少女が喧嘩を続ける両親に抱きついたのを確認して、うさぎはまた流星になった。