cяimson moon 赤い月 extra
(参ったな…)
漫才師のような夫婦とその娘のせいで、帰りが遅れた。
ベランダからそっと窓の中を覗くと、景時が必死の形相で部屋中を動き回っていた。
大人しく留守番しているはずの自分を探しているのだろう。
冷蔵庫の中まで覗き込む彼を見て、うさぎは吹き出しそうになった。
ソコはナイ。
着物で出てしまったのが、マズかったのかも知れない。
散歩ではなく、この地を離れたと勘違いしているのかも知れない。
(どうしたものか…)
フツーに帰るか?
テヘ☆とか言って。
無理だな。
確実に叱られる。
上からイくか?
ナニが悪い!とか言って。
コレも…
さらに叱られそう。
「あ。」
対応をあれこれ考えていると、部屋にいる景時と目が合ってしまった。
向こうも、口を『あ』にしている…