cяimson moon 赤い月 extra

「いらっしゃーい。」


「いらっしゃーい。」


「?!」


薫と秋時の声を聞いて、リビングに足を踏み入れようとしていた黒曜が固まった。


「…
いつもこんなに人間が多いのか?」


「うん。
薫は毎日晩飯食いに来るし、ジジィもしょっちゅう…
あ、アレ、俺のジーチャンなの。」


「…」


さも当然という景時の答えを聞いて、黒曜は口を噤んだ。

秋時の挨拶と自己紹介が一通り終わると、黒曜はテーブルにワインボトル置き、うさぎを見た。


「47年のマルゴーだ。
グラスを持って来い。」


「ほう。
当たり年ですね。」


秋時がラベルを眺めながら口を挟む。


「わかるのか?」


黒曜が秋時に視線を送り、ニヤリと唇の端を歪めた。


「ワインの女王は気難しい。
あまり若いと香らない。
コイツは、イイ頃合いだろ?
おまえも飲め。」

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