cяimson moon 赤い月 extra

飢えた獣たちに、料理は食い尽くされた。

ワインのボトルも空になった。

黒曜はベランダに出て、夜空を見上げながらタバコを吹かしていた。

固まりすぎたからだろうか、食事をしただけなのに少し肩が凝っている。


「黒曜ー。
うさちゃんが、緑茶とコーヒー、ドッチがイイ?って。
あ、紅茶もあるよ。」


ベランダの窓が開いて、景時が顔を出した。


「…コーヒー。
おまえントコ、いつもこんなカンジ?
なんか… スゲぇな。」


「そ?
フツーじゃね?」


(人間って、こんなに騒々しいのがフツーだっけか?)


苦笑を漏らした黒曜の隣に、ヒョコっと出てきた景時が並んで立った。

部屋の中では、薫がお茶をこぼしていたり、さらにビールを呑もうとする秋時をうさぎが叱っていたり、未だ喧騒が続いている。

肩越しに振り向いてそれを眺めた黒曜が、目を細めて景時に問うた。

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