cяimson moon 赤い月 extra
びゅーんにもロッククライミングにも一通り満足した息子が、シートに座って口いっぱいにおにぎりを頬張る。
育ち盛りだからか、体質のせいか、彼はよく食べる割に太らない。
隣で甲斐甲斐しくお茶を用意する夫に、満天の星空を指差した息子が声を掛けた。
「父さん、父さん。
アレはナニ座?
ほら、マントしてる人、いるでショ?」
「まんと?
…ジャ、『しー座ー』ダ。」
「シーザー?
ダレ? ソレ?」
「ナンカ…
ドッカノ王様?」
…
適当デスネ。
ソーデスネ。
夫に星座がわかるワケがない。
それでも息子は目を輝かせ、スッゲー、カッケー、と連発する。
「じゃあ、その隣のは?
なんか、おトイレみたいの。」
「『便座』ダ。」
適当すぎンだろ、おい。
それでも息子は目を輝かせ、近くにおトイレがあるから王様は安心だね、なとどと頷いている。
息子の中で王様は、お腹がゆるい設定なのだろうか?