cяimson moon 赤い月 extra

いつも物静かな夫の大声にビクリと揺れる妻の肩を、強く掴む。


「ナンデ ソンナコト言ウンダ?」


「だって…」


妻の目がみるみる涙で潤む。
キラキラした瞳に、夫が映る。


「私が、術でゼンキを縛りつけて…
命にまで期限をつけて…
もう、イヤなんでショ?
だから最近、景時とばかり…」


「馬鹿。」


夫は妻を抱きしめた。

あまりの可愛さに抱き潰してしまわないよう、細心の注意を払って。


(俺モ、馬鹿ダ。)


夫婦揃って、同じことで悩んでいたのだ。

同じように互いを思い、同じように互いのために身を引こうと…


「術ノコトナンテ、スッカリ忘レテイタ。
俺ハ、千景ヲ愛シテイルカラ ココニイル。
千景ガ 嫌ダト言ウマデ、傍ニイルヨ。」


「うー…」


可愛い泣き声を上げて、妻が夫の胸に顔を埋めた。

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