cяimson moon 赤い月 extra
こんなことがあった。
アチラのご領主様とコチラのご領主様が戦をなさるのでは、と噂が広まった。
それが本当ならば、立地的に言って里は巻き込まれる。
里の者は皆、怯えていた。
「恐ろしゅうございますわ。」
「む。
おのれ、領主共。
月夜を怖がらせるとは。
一発ずつぶん殴って、説教してくれる。
喧嘩両成敗じゃ。」
「えぇ?!
お待ちください、母上様。
双方とも、まだ兵も募っておられません。
ただの噂でございます。」
「ん。
問題ない。
早いか遅いかというだけの話じゃ。」
キリリとしたドヤ顔を見せて、すっ飛んで行かれた母上様…
うん、可愛い。
可愛いケドも。
横暴すぎンだろ─────!!
始めてもいない喧嘩(戦)で両成敗されちゃ、やってらンねぇよ。
あぁ、ツッコみたいけどツッコめない。
以来、不穏な噂はピタリとなくなった。
ご領主様方がどのような目にあわれたかなど、月夜は想像したくもございません。