cяimson moon 赤い月 extra

人を人とも思わぬような蔑みきった妖艶な微笑みを見せ、オニが一瞬だけその本性を露にすると、ならず者たちは一様に青ざめた顔で震えだした。


(ヤっベぇ…)


吸血鬼と弁慶は、険しい顔で視線を交わした。

コレはバレたか?

オニだとは思わないカモ。
でも、ヒトじゃないのは明らかだ。

クラスメートも、客も、ならず者も、平然と涼しい顔で立つオニに見入っている。

なんとかしないと。
みんなの気を逸らさないと。
なんとかしないと騒ぎになる。

そうしたら、うさぎは…?


「あー、えーと、コレは…」


って、言い訳も出て来ねぇぇ!


「あ…」


ならず者に解放された血塗れナースが、掠れた声を出した。

やめて。
叫ばないで。
悲鳴を上げないで。

吸血鬼は祈るように固く目を閉じた。

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