cяimson moon 赤い月 extra
「「蹴れ…??」」
景時はうさぎをそっと降ろし、顔を覗きこんだ。
彼女は俯き、両手で自らの躰を抱いて震えを押さえようとしている。
「うさぎ、それは人間なの?」
「人…の筈じゃ。
気配も…
そなたと同じ服を着ておった。
だが、気味が悪い。
皆汗をかき、息を荒くして…
来た!!!」
うさぎが景時の背に隠れ、彼のブレザーを小さな手で握りしめた。
お世辞にも俊敏とは言えない足音が、バタバタと聞こえる。
『踏め』『蹴れ』
しかも群がって。
なんの意味があるのだろう。
聞いたことはないが、チカラを奪う儀式でもあるのかも知れない。
さっぱり要領を得ないが、強敵であることは間違いない。
鬼神がここまで怯えているのだから。
生憎、バジュラは持ち合わせていない。
だが、殻がヒトの躰なら取り押さえられるか?
景時と薫は、鋭い視線を交わして頷き合った。