cяimson moon 赤い月 extra

「あなた、ちょっとお時間いいかしら?」


女が女神に声を掛けた。


「人を待っておる。」


無表情に女神が答えた。

イイの。
突然だもの、怪しんで当然よ。
でも、コレを見れば態度が変わるはず。

女神の答えを無視して、女はバーキンから名刺を出した。
それは芸能関係者の証。


「私、こういう者なの。
あなた、芸能界に入らない?」


「そのようなものは知らぬ。
興味もない。」


名刺と女の顔をチラリと一瞥しただけで、女神は視線を戻した。

あら?
疑ってる?
変な事務所じゃないのよ?


「うちは、あなたもよく知ってる新人を抱えている、将来有望な事務所よ。
あなたなら、何をしてもすぐにトップに立てるわ。
日本中の注目と憧れを一身に集めるられるの。
夢のようでしょう?」


「意味があるとは思えぬ。」


女神は動かない。

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