cяimson moon 赤い月 extra

(アレが欲しい。)


女神を目にした男は思った。

男は祖父の代から続く会社の社長。

幼い頃から跡継ぎとして甘やかされて育った。
もちろん次期社長としての教育を受けたし、教養も身に付けた。

父の座を受け継いでからは多少強引な手腕で業績を伸ばし、会社を拡大させた。
IT関連事業にも参入し、今では飛ぶ鳥を落とす勢い。

新聞や雑誌でも、取り上げられるほどの豪腕経営者になった。

望めば叶わないことなどない。
手に入らないものなどない。

車も、装飾品も、どんな女も。

金と権力と名声に後押しされ、男は自信に満ち溢れていた。

そして男は女神を見つけた。

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