cяimson moon 赤い月 extra
景時は慌ててベランダに飛び出した。
うさぎを捕まえようと柵に身を乗り出し腕を振り回すが、手が届かない。
「うさぎ、行くな。
てか、裸Yシャツで外行くとか、犯罪だから。
風邪ひくから。
俺が死ぬから。
早く戻って。」
もはや何を言いたいのか自分でも不明。
景時は泣き出しそうな顔でうさぎを見上げた。
夜空に浮かんだうさぎも寂しげに景時を見て、長い睫毛を伏せる。
「許せ、景時…
ぷれぜんとの為じゃ。」
「ドコに… 行くの?」
「とりあえず…崑崙辺りか?」
コンロン?
ドコ、ソレ?
うさぎが銀の流星に姿を変え、瞬く間に景時の視界から消える。
「うさぎ────────!!
行くな─────────!!」
『ぷれぜんとの為』に、呆気ない悲劇の別れ。
うさちゃん…
きっとチベットの山奥にはショップなんてナイよ…
景時は寒いベランダで、涙を流しながら星を見ていた。