cяimson moon 赤い月 extra

「喜んでくれると良いが。」


「あー… 大丈夫じゃね?」


景時の答えはどこか悄然としたものだったが、それでもうさぎの顔は輝いた。

頬が桜色に染まり、口元が嬉しそうに綻ぶ。


(ズリぃよなー…)


そんな可愛い顔しちゃうから。

楽しそうにしちゃうから。

『俺だけ』じゃなくてもイイなんて、思ってしまう。
『みんな一緒』でイイなんて、思ってしまう。

『俺がいるから』ではなく『みんながいるから』という理由であったとしても、うさぎがココにいるコトを楽しんで、ココにいるコトを望んでくれるなら。

うさぎが去って行かないなら…


「きっと大喜びなンじゃん?」


景時はうさぎの頭に軽く手を置いて、もう一度ちゃんと答えた。

寂しいキモチがバレないよう、気をつけて笑顔を作った。

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