cяimson moon 赤い月 extra

腕の中のうさぎが、微かに身じろいだ。

悶々と悩んでいた景時が緊張で固まる。

煩悩に支配されたバカな脳ミソに突き刺さったのは…


「ん…
‥‥‥く…よ‥‥‥」




なんて?

てか…名前…?


「うさちゃ…
あ。」


思わず声を上げてしまった。

慌てて手で口を押さえたが、眠り姫は薄く目を開く。


「…おはよう、景時。」


顔を強張らせる景時に、うさぎが微笑んだ。

もう、それだけでいい。
今は、それだけでいい。


(うさぎが俺を見て、俺の名前を呼んでくれるなら。
笑ってくれるなら。
それだけで…)


景時はうさぎを強く強く抱きしめた。


「おはよう、うさぎ。」

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