結婚白書Ⅰ 【違反切符】
「まだ早いし 出掛けようか」
ご両親の前でデートに行こうと誘われたみたいで 少し照れた
玄関まで朋代さんが送りに来てくれた
「お兄さん いいわねぇ こんな可愛い婚約者いて 楽しそうじゃない」
「そーだよ たまにしか会えないんだからいいじゃないか
お前も早く彼を見つけろよ」
「妹の前でノロケる兄なんて 聞いたことないわ」
私は恥ずかしくて下を向いてしまった
高志さんは バツが悪いのか ぷいっと先に出ていった
「朋ちゃんと 食事に行く約束をしたのよ」
朋代さんと さっき約束をしたばかり
勤務先が近いことがわかり それじゃ 今度は二人で会いましょうとなった
食事の後 朋代さんと話をした
彼女は聞かれたことには答えるが 自分のことはあまり話さない
淡々とした口調で クールな印象が強く残った
「なんて呼んだらいいかな?朋代さんじゃちょっと・・・
朋代ちゃん? 朋ちゃんでもいい?」
そう聞くと ”はい そうしてください”
と 今までとは違う 華やかな笑顔が返ってきた
こんな顔をするんだ・・・
彼女の違う一面を見た気がした