結婚白書Ⅰ 【違反切符】
車で30分ほど走ったところに水族館はあった。
連休のためか 館内は親子連れで混雑している。
オープンしたばかりかぁ どこもかしこもピカピカだよ。
へぇージンベエザメがメインなんだ。
巨大な水槽を我が物顔で泳ぐ ジンベエザメの姿に見とれていた。
いつの間にか一人 サメの姿を追っていた。
あれっ 彼女がいない
見回すと 壁の案内板を熱心読んでいる。
「なに おもしろいことでも書いてあるの?」
「ここ 夜も開館してるみたい 魚の夜の生態をお楽しみくださいって
わぁ~楽しそう・・・夜は7時から 残念だわ~見たかったのに」
彼女の顔は 本当に残念そうだ。
次の瞬間 自分でも信じられない事を口走っていた。
「明日の夜 一緒に見にきませんか?」
彼女の残念そうな顔が可哀想で 笑顔が見たくてつい・・・
まぁ いいか
別に今日断らなくても 明日事情を話しても遅くはないか
水族館をでて 彼女のオススメのフレンチレスランで食事をした。
なんでもよく食べる子だ。
女の子にしてはかなり速いスピードで平らげてるよ。
あっ でも 食べるのきれいだな。
よくお袋に怒られたっけ
「ひじを突いちゃいけません お箸がちゃんと持てない子はダメよ」って
この子ならウチのお袋も気に入るだろうな。
はっ! いかん なんでこうなるんだ!
俺はまだ結婚はしない 結婚はしない 結婚はしない・・・
頭の中で呪文のようにつぶやく。