アイのカタチ
「ちょっ、何すんのよ」
「だってお前がもっとこっちっつーから」
「いやいや、寝なくてもいいでしょ」
「お前、しゃべってたらバレんぞ」
そう言われてすぐ、あたしは口を継ぐんだ。
「けどさぁー…傍から見ると似合ってんだよね。黒沢くんカッコいいし、美鈴先輩もどちらかと言うと綺麗じゃん」
「あー…そうだね」
「でもさ、絶対美鈴先輩、性格悪いよ」
…はぁ!?なんだって!?
思わず眉間に皺が寄る。
「あー、何か分る気する。結構綺麗な人って性格悪いよね、プライド高いって言うか」
「そうそう。なんか魔性がありそうだよね」
「そもそも先輩ってさ年上限定じゃなかった訳?」
「だからそれは魔性で落としてんだってば!」
「えー…そんなんで黒沢くん落ちんのかなぁ…」
「どーせ本気じゃないっしょ」
馬鹿みたいにケラケラ笑う声。
あたしの事を先輩と呼ぶ限り、年下と言うよりも、今まさにあたしの膝に頭を置いているこの男とタメだ!
別にどうってことないって感じで寝転がる颯の顔をあたしは軽く叩いた。