アイのカタチ
「えっ、ちょ、ちょっと何してんのよっ!」
「何って、そんなんで帰れねぇだろ」
視線を落とすと、水に濡れた所為でシャツがおもいっきり透けた状態。
「あ、あぁ…」
「だからお前も脱げ」
「え、やだよ」
「こんな時に可愛く“やだよ”とか言ってんじゃねーよ。濡れてっから早くしろよ。なんなら俺が脱がそうか?」
「いいって!自分でする」
クルッと颯に背中を向けたあたしは最後のボタンを取ってシャツの袖から腕を抜く。
その拍子にフワッと頭から被さった颯のシャツ。
「それ、着ろ」
「ありがと」
そう言って颯の香水が沁みついてる大きめのシャツにあたしは腕を通した。
「俺んち、ここから少し歩いた所だから来いよ。そのままじゃ帰れねぇだろ?髪も濡れてっし」
地面に置いてあるあたしの鞄を掴むと颯はそっとあたしの手を掴んだ。
「ごめん…ね」
「謝るのは俺のほうだから」
苦しかった。
苦しかった。
そう颯が言った言葉にも、その辛そうな表情をする颯の顔を見るのも辛かった。