アイのカタチ

「あー…ほら、アイツ居んじゃん。カフェで会った奴」

「…うん」

「アイツ、俺よりいい奴みつけたーとか言ってたから辞めるには丁度いいと思うし。ダラダラやってても何もねぇからな」

「……」

「美鈴の言ってた得する事も何もねぇわ」

「……」

「だから…もう終わり」

「…うん」


そう言うしかなかった。

だって、そう言うしかなかった。


でも、そう言ってても心ん中がムシャクシャするのは何故だろう。

辞めるか辞めないかは颯が決めることであってあたしは関係ない。


「あー、そだ。別れるにあたって、美鈴が俺を振ったって事にしときゃいいかんな」

「えっ、でも…」

「じゃなきゃお前の評判、また落ちんぞ」

「別に気にしてないし」

「けど、今回は俺から言いだした事だからそうしとけって」

「……」

「なーんか、変な事に付き合して悪かったな、マジで。まぁ、俺は楽しかったけどな。美鈴もいい男みつけろよー」

「……」


何気に言って笑ってきた颯の言葉に胸が痛んだ。

どうしてこんな気持ちになっちゃうのか分んない。


ホントの別れみたいで、本当に恋人同士が別れちゃうみたいな感覚で心に大きく穴がポッカリ開いた。





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