アイのカタチ
「つか、何で泣きそうになってんの?」
そう言われて自分でも分かった。
また颯の顔がボヤケテいく。
ここで気を許しちゃうと涙が落ちる。
「…別に」
「ごめん、まだ気持ちわりーの?」
持っていたタバコを消すと、颯は立ち上がりあたしの髪を避けながら首筋を撫でる。
そうじゃ、ないの。
そうじゃ、ないんだよ。
「ううん」
首を左右に振るあたしの頭を颯は軽くポンと叩く。
「じゃあ何?」
「別に」
「お前、“別に”って言葉スキだな」
「別に…」
「ほら、また」
「……」
クスクス笑う颯の手があたしの髪を撫でる。
そして、ギュっと颯はあたしを抱きしめた。