アイのカタチ

「あ、やっぱそれだった?俺ってすげぇじゃん」

「もしかして匂いで分ったの?」

「そーそー。ってかさ、その匂い俺が好きなやつだから」

「へー…って言うか、颯つけんなって言ったくせに」

「言ったっけ?」

「言ったよ。変な男が寄りつくからって」

「あー…そうだっけ?忘れた。でも、あげる」

「…ありがとう」


颯に貰ったたった一つの大事な物。

なのに、あたしは何もしてあげる事が出来なかった。


そりゃ付き合ってないけど、でも何かと色々としてくれた颯に申し訳なさを感じるのは当たり前。


何で寂しさを増すんだろう。

何で心が苦しいんだろう。


そんな自分に何故か苛々してしまった。



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