アイのカタチ
stepⅣ

さすがに噂ってもんは早かった。

颯と関係を打ち切って1週間を過ぎた頃、周りから聞こえてくる声に耳を塞ぎたくなった。


別れた理由はあたしにある。

颯が言った通りに、あたしが颯を振った事になってる。


こんなの、納得出来ない。


「ほーら、だから言ったじゃん美鈴!」


この千佳の言葉を聞くのもまだ慣れてない。


「やっぱ黒沢はダメだって!この前さ駅前で激しく暴れてたって噂だよ」

「……」

「美鈴に振られたから激しく暴れてんのかね」

「……」

「でもね、美鈴が居なくなった途端、女が寄りついてるらしいよ」

「……」

「なんだかねぇー…危ない奴だけど顔がよければオッケーなのかな」

「……」

「ちょっ、ちょっと美鈴!!」


言いたい放題言っている千佳の言葉にウンザリしてしまった。

友達だけど、やっぱ腑に落ちない事だってある。


こー言う時、いつもなら屋上で颯と他愛ない会話をして気持ちを緩ませていたけど、もう肝心な颯は居ない。

ましてや、いつも佇んでた屋上にも姿を現わせなかった。


来てるかどうかなんて分んない。


…学年、違うもん。


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