アイのカタチ

颯は、千佳が思ってるほど危ない奴じゃない。

だって、優しかったのは確かだもん。


変な事に巻き込まれて出会ったけど、今ではその出会いに感謝してる。


でも月日が経っちゃうと寂しさがどんどん増して、あたしがあたしじゃなくなっていく。


年上の彼と居た時は、ちょっと見栄張ってた自分が居て、背伸びしようと頑張ってたのかも知れない。

でも、颯は違うの。


自分の素のままを見せれるって言うか、今までにない感情が湧きあがってくんの。


好きで好きで仕方がなかった年上の彼を遥かに颯のほうが上回ってた。


結局あれから颯を見掛けないまま、刻々と過ぎ去って気づけば7月。

汗ばんだ肌と、未だにギクシャクする気持ちが嫌で嫌で仕方がなかった。



…颯、来てよ。

借りてる服、返せないじゃん。




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