アイのカタチ

「だからー…合コン!日時は決めるから――…」

「ちょっ、声でかいよ」


またまた入りこんだ千佳の声に慌てて口を塞ぐ。

やだ、聞こえちゃ嫌だ。


「もー!!なにすんのよっ」


千佳は口を塞がれた事に頬を膨らます。


「ご、ごめん」

「で、美鈴も来るんだからね!」


笑顔満開ってきっとこの事だと思う。

あたしに対しての優しさなのか、正直嬉しくない。


そんな事より颯に聞こえてそうで嫌な気持ちになってしまった。


授業中も何だか気分がしっくりこなくて内容すら耳に入っていなかった。

久々に見るのに、どうして避ける様に行っちゃったの?なんて事も思ってしまった。


昼休みが近づくたびにソワソワしてた。

毎日ずっと持って来てた服を今日は必ず返そうって思ってたから。



そして昼休み。

千佳がいつも通りクラスメイトと楽しく盛り上がってる最中、あたしは鞄の中から袋に入ってる颯の服を取り出し屋上への階段を駆け上がった。



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