アイのカタチ
恐る恐るベンチがある所を覗き込むと、そこには颯の姿がある。
いつものように寝転んで、右腕を額に乗っけてた。
「…颯?」
そう小さく呟いたあたしの声は颯の耳に届いたんだろうか。
即効、返事がないからもう一度口を開こうと思った瞬間、
「久し振りだな。…元気にしてたか?」
口を開いた颯は額に乗っけてた腕をスッと外した。
その久し振りに見る顔に意味もなくドキドキしてる自分が居る。
「うん。…颯、避けないでよ」
「え?」
「ほら、今朝会ったじゃん」
「あー…避けてねぇし。またやっかいな噂飛んじまったら美鈴が傷つくだろ?だから」
「別に、いいのに…」
「で、どした?」
「あー…うん、これ」
そう言って袋を差し出すあたしに颯は身体を起す。
「何?」
「颯の服。前に貸してもらったやつ」
「あぁ。別にいいのに」
その受け取ろうとした颯の左手に思わず視線が止まった。
手の平全体に覆われてる包帯。
今の今まで気付かなかったけど、真っ白で覆われている包帯が自棄に気になった。