アイのカタチ
「どうしたの、手?」
「うん?あぁ…これか?」
颯は受け取った袋をベンチに置くと、左手を少しだけ上に上げた。
「うん」
「ちょっと、しくじっただけ」
「しくじった?」
「そう」
「大丈夫なの?」
「平気」
「それよか美鈴は?」
「え?」
「なんも変わった事なかった?」
「変わった事?」
「ほら美鈴ちゃん、人気あっから男が寄りついてねぇかなーって思って」
そう言って颯はクッと口角を上げて微笑んだ。
「大…丈夫だけど」
「そっか。なら安心」
「でも颯はいっぱい女が寄りついてるみたいじゃん」
「眼中にねぇけどな。っつーか、合コン行くんだって?」
…やっぱ、聞かれてた。
「うーん…行くか分んないけど」
「行って来いよ。いい男いっかも知れねぇよ?」
「そんな事、颯に言われたくない」
そんな事…
そんな事…
言わないでよ。