アイのカタチ
「だからさっさといい男見つけろって。そんな事、美鈴なら簡単だろーが」
「簡単って…」
「俺とお前はそー言うんじゃねぇじゃん。ましてや俺と居るとよくねぇよ」
「でも、だけど――…」
「黒沢くーん!!」
突然遮られた声は甲高い女の声。
思わず遮られた声によってあたしの表情が一瞬にして曇る。
「ねぇ、黒沢くーん、居るでしょ?」
またまた響かせた声に颯は小さく舌打ちをし咥えてたタバコを地面に押し潰した。
「俺が出て行くまで美鈴は出てくんなよ。せっかく落ち着こうとしてんのに、またやっかいになったら面倒だからよ」
颯はスッと立ってベンチに置いてあるタバコを掴んでズボンのポケットに収める。
そしてあたしが渡した服の袋を掴むと、
「サンキューな、これ」
そう言って、袋を見せスタスタと姿を消した。
「あ!やっぱいたー」
「何?」
「あのさ、超いい話があんだけ――…」
「悪いけど、腕絡めんの止めてくんね?暑い」
「こんくらい別にいいじゃん。別にヤろって言ってないんだし…って、待ってよ!何処行くのよ!!」
何て言う会話。
思わず深いため息を吐きだしたあたしはそのままベンチに腰を下ろし壁に背をつけた。