アイのカタチ
何故か思い出してしまうの。
こうやって放課後になると、待ち合わせていた体育館裏。
一緒に帰ってたあの頃の事を。
隣に居たはずの颯はもう居ない。
ホントに付き合ってないのに、年上の彼と別れた時以上に悲しいの。
辛いの。
「あー!!美鈴っ!!」
校門を潜った瞬間、聞こえて来たのは弾んだ千佳の声。
振り向く先に見えたのは駆け足で近付いて来る千佳の姿。
「どーしたの?」
「合コンだよ、合コン」
「あー…」
「なんかさ皆の日程が合わなくてさ――…」
「ナシになったの?」
「んな訳ないじゃん」
「なんだ…」
「で、さ来週の日曜になったんだよ。だから絶対開けててね。もうその頃になったら夏休みだし遊びたい放題じゃん」
…夏休み?
って事は、颯に会えなくなるって事?
そんなの、嫌すぎる。
夏休みなんて、いらない。