アイのカタチ
もちろん颯との電話もメールも一切なし。
あたしからしていいのかどうかなんて分んないし、ましてや颯からも連絡なんて一切ないから自分からじゃ出来ない。
颯と話してた日々も。
一緒に居た日々も。
抱きしめられてキスされた事も忘れられなくて、颯がいつもつけている香水の匂いだって忘れられない。
何でこんな事になったんだろ、あたし。
千佳になんて相談すら出来なくて、ましてや合コンまであと1週間って所まで来てる。
行かないいいわけすら浮かばなくて…と言うか、もう拒否りたい。
だけど、千佳のあの弾けた声を思い出すと、そんな事出来ないか、…とまで思ってしまった。
毎日の学校が何だか憂鬱になってしまって、それと同時に迫ってくる夏休みが嫌で嫌で仕方がなかった。
朝一の学校。
上履きに履き替えて、これから3階まで上がるのか、と思えば更に嫌になる。
「ちょっと黒沢先輩ヤバくない?マジカッコいい」
「メガネ姿、マジヤバい」
「なんかエロいよね」
小言に聞こえてくる声。
あたし、敏感になりすぎてる。
すぐに颯の名前を聞くと意識がそっちに行ってしまう。
先輩と呼ぶ限り…1年生。