アイのカタチ

出来るだけ耳に入れないようにと足を進め、2年の教室がある廊下に差し掛かった時、


「お前、エロイって言われてんぞ」


ケラケラ笑う男の声に思わず反応してしまった。

チラッと視線を向けると、初めて見る颯のメガネ姿。


茶色い髪を乱暴に掻き乱した隙に見えたのは耳から光るピアス。


「仕方ねぇだろ。痛くて出来ねぇんだからよ」

「そんな激しくやり合うなよ」

「つか、お前の所為だろうが」

「でもいいんじゃね?エロくて」

「しばくぞお前」


ケラケラ響く笑い声を耳にしながらあたしは急いで3階まで駆け上がった。


…颯って、今までコンタクトだったんだ。

知らなかった。


そして1週間ぶりにドキドキしてしまった自分が居る。

ましてや初めてのメガネ姿。



余計に颯に惹かれそうだ。



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